マンションの電気設備の交換目安はいつ?
- 2020/12/3
- カテゴリ: 基礎知識
忘れてはいけない電気設備の点検と交換
大規模修繕では、足場を組み外壁や屋上部分の修繕がメインになりますが、忘れてはいけないのが電気や水道といったライフラインに関する設備のメンテナンス。ライフライン関連の不具合は日常生活に支障が出るだけでなく、大きな事故につながる恐れもあります。特に電気設備は水道と違って不具合を発見しづらく、また、「使えることが当たり前」の感覚でいる方も多いはずです。しかし、電気に関する設備や器具も経年によって劣化するため、定期的な点検・交換を行う必要があります。そこで、今回はマンションの大規模修繕をご検討中の方に、あわせてご確認いただきたい電気設備の仕組みや交換目安について解説します。
マンションで電気が使えるようになるまで
共用設備を有し多くの人が住まうマンションでは、一度に大量の電力を消費するため、供給システムが戸建て住宅とは異なります。マンションでの電力供給の仕組みは、建物全体で使われる電力量によって主に以下の2種類に分けられます。
各戸の契約電力と共用部の契約電力が合わせて50kw未満の場合
契約電力が50kw未満の小規模なマンションの場合、電柱に設置された柱上変圧器で低圧電力に変圧され、エレベーターなどを動かす動力用幹線と照明などに利用する電灯用幹線の2系統の引込線に分けられます。その後、電灯用引込線は引込開閉器盤を通り共有部と各家庭に電気を供給してくれます。
各戸の契約電力と共用部の契約電力が合わせて50kw以上の場合
契約電力が50kw以上の中規模から大規模なマンションの場合は、電柱からそのまま高圧電力を「キュービクル(高圧受電設備)」に引き込み低圧電力へと変圧します。その後、小規模のマンションと同じように引込開閉器盤を経由しそれぞれの場所へ電気が送られます。
キュービクル(高圧受電設備)の交換目安は?
キュービクル(高圧受電設備)は契約している電力が50kw以上のマンションなどの施設で設置されている電気設備です。開閉器、断路器、変圧器、制御装置などの受電設備が金属性の箱に収められ、マンションでは主に屋外に置かれています。
キュービクルの耐用年数は設置場所の環境や整備状況などによって異なりますが、およそ20~30年といわれています。ただし、内蔵されている内部受電設備は15年程度が耐用年数の目安となっており、必要に応じて個別にメンテナンスや交換が求められる点に注意しましょう
また、キュービクルは月に1度、または隔月で行うことが法令で定められているほか、年に1度は年次点検が必要となる点も併せて覚えておきましょう。
引込開閉器盤の交換目安は?
引込開閉器盤は、変圧された電力を建物に引き込み、マンションなどの集合住宅で共有部や各部屋に電力を供給するための設備です。引込開閉器盤の耐用年数は20~25年が目安となっているため、1回目の大規模修繕の際に補修や塗装を行い、2回目の大規模修繕で交換を検討するなどメンテナンスの計画を立てておくとよいでしょう。また、引込開閉器盤は屋外に設置しているケースが多いため、定期的な点検なども行っておくと安心です。
その他の電気設備の交換目安は?
マンションなどの集合住宅にある電気設備はこれだけではありません。上記以外の電気設備の修繕・交換目安について知っておきましょう。ただし、これらはあくまで目安であり、機器ごとにばらつきがある点には注意が必要です。
・分電盤 約30年
・電気配線 基本的に定期修繕は不要です。不具合が起こった際にその都度配線調査で対応する必要があります。
・インターホン設備 15~20年
・電気錠 10~15年
定期的な電気設備の点検と交換を
電気設備の不具合は視認ではわかりづらい反面、日々劣化は進んでいきます。普段何気なく使っている電気ですが、電気設備に不具合が発生してしまうと日常生活に支障を来すだけでなく、大きな事故につながる恐れもあるため定期的な点検や交換が重要です。電気設備のそれぞれの耐用年数などをしっかりと把握したうえで、先々の修繕や交換の計画を練っておきましょう。
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