修繕積立金が足りない場合はどうすればいいのか?
- 2015/6/30
- カテゴリ: 金銭
大規模修繕を検討するタイミングになって、修繕積立金が不足していることに気付くケースは多々あります。その理由は、「どうして修繕積立金は不足するのか?」でご説明したとおりです。
今回は、修繕積立金が足りないときの対策にフォーカスします。足りなければ管理組合が補う必要がありますが、一体どんな方法で補えばいいのでしょうか?
01 一時金を徴収する
修繕積立金の不足分を、マンションの戸数で割った金額を「一時金」として一括して徴収する方法です。管理組合の総会決議が必要になりますが、居住者に大きな負担を強いるため、必ず反対意見が出ます。一時金が高額になればなるほど、調整・議決は難航します。また、仮に議決されたとしても、工事の直前になって「徴収できない」といったリスクも考えなければいけません。
一時金を徴収するメリットは、金利がかからないことと、手早く不足分を補えることです。早急に大規模修繕工事が必要な場合は、一時金を検討した方が良いかもしれません。
02 不足額を借り入れる
金融機関から修繕積立金の不足分を借り入れる方法です。管理組合の総会決議を要しますが、一時金よりは議決が通りやすく、現実的な方法だと言えるかもしれません。ただし、借り入れをするわけですから当然金利がかかってきます。返済のため、修繕積立金の増額が必要になる可能性は想定しておきましょう。
ちなみに、住宅金融支援機構に「マンション共用部分リフォーム融資」という制度があります。条件を満たす管理組合は、担保不要で1戸あたり150万円×戸数を限度として総工事費用の80%までの融資が受けられます。
03 修繕積立金を値上げする
毎月の修繕積立金を増額する方法です。一時金が一気に負担を強いるのに対し、こちらは毎月の負担が大きくなるものだと言えます。管理組合の総会決議が必要ですが、一時金の徴収と同様に必ず反対意見が出るはずです。また、不足分を補填できるまでにはある程度時間がかかるので、工事が差し迫っていないマンションに限られるでしょう。
01・02・03の方法で合意が得られなかった場合は、大規模修繕を延期せざるを得ないかもしれません。「修繕積立金が足りないから」という理由で大規模修繕を先延ばしにするのは、決して望ましいことではありません。個々のマンションの状況にもよりますが、工事を先延ばしにすれば劣化が進み、将来、さらに工事費負担が増えてしまうことにもなりかねません。もちろん、建物のメンテナンスが不十分であるほど、居住者も安心して暮らすことができなくなってきます。
まとめ
上記01~04が一般的な方法ですが、それ以外の方法としては、たとえば駐車場代の増額も考えられます。駐車場代が相場に比べて安い場合は値上げをして、それを修繕積立金の不足分に回すことを検討してもいいでしょう。ただし、居住者に平等に負担を強いるものではないため、合意が得られにくいかもしれません。現在の管理費を削減して、その分を修繕積立金に回すのも一つの手です。今の管理費が高いと感じているなら、管理会社との値下げ交渉、管理内容の見直し、管理会社の変更など、削減の余地はないか検討してみましょう。
なお、上記の対策はどれか一つを実行するのではなく、組み合わせることで円滑に資金調達ができるケースもあります。全員が納得できる方法はないかもしれませんが、トラブルに発展することのない最適な方法を考えてみてください。
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