大規模修繕をスムーズに行うためのカギは“アンケート”にあった!
- 2020/2/5
- カテゴリ: 改修
大規模修繕に欠かせない住民へのアンケート
約12年に一度行われるマンションの大規模修繕は、工事の1~2年前から準備を進めていくのが一般的です。その準備期間中には、建物のひび割れや仕上げ材の浮きなどを確認する「建物診断」が行われますが、中には建物診断で発見できない劣化や不具合もあります。
そこで今回は、大規模修繕をスムーズに進め、「住んでいて快適」と思われる環境を実現するために「住民へのアンケート」を行うことの重要性について紹介します。また、アンケートで何を聞くべきかについて説明するので、ぜひ参考にしてください。
大規模修繕に住民アンケートが必要な理由
大規模修繕の前に行われる建物診断では、冒頭で触れたもの以外にも、屋上の防水状況、鉄筋の爆裂、タイルの浮きなどを、目視やテストハンマーによる打診で確認します。
この建物診断は、大規模修繕を行う施工会社、もしくは設計事務所などの専門家が行うため、基本的にはほとんどの修繕ポイントは発見可能です。しかし、建物診断はおもに外観や共有部分での診断が中心となるため、各部屋の内部の問題や、普段生活していないと気づかない細かい部分までを把握することは難しいとされています。そこで、重要となるのが、住民へのアンケートなのです。
業者がどんなに精密な建物診断を行ったとしても、建物の細かい具合まで把握しているのは、そこに住む住民たちです。そのため、住民の意見を聞けば建物診断では気づけなかったことがわかり、大規模修繕をスムーズに進めることが可能になります。
住民アンケートで聞くべきポイントとは?
では、実際の住民アンケートでは何を聞けばよいのでしょうか。ここでは、多くの回答を集めるためのポイントについて説明します。まず聞くべきことですが、具体的には次のようなことを質問します。
・雨漏りは発生していないか
・結露は発生しやすいか
・喚起に問題はないか
・排水は問題ないか、水の出は悪くないか
・玄関、扉、サッシなどに錆はないか
・テレビ視聴に問題はないか
・インターネットの閲覧に問題はないか
・バルコニーや階段の手すりに錆、塗装ハゲはないか
・廊下、階段、エントランスなどに水漏れはないか
・駐車場、駐輪場など屋外施設に問題はないか
続いて、より多くの回答を集めるためのポイントを見ていきます。アンケートのポイントは、「簡単で具体的な質問に選択方式で答えてもらうこと」です。たとえば、結露が発生しやすいか知りたい場合は、「はい・いいえ」の二択で回答してもらうとよいでしょう。
そして、「はい」と回答した方にのみ、結露が発生する場所として「窓のサッシ・家具の裏・畳、カーペットの下」などの選択肢を提示します。これにより最低限の手間でアンケートに答えることができ、回答率アップを期待できるのです。また、どうしても記述が必要なものに関しては、回答例を入れておくと記入してもらいやすくなるでしょう。
なお、建築の専門用語をなるべく避けてアンケートを作成するのもポイントのひとつです。どうしても専門用語が必要な場合、補足説明を入れておきましょう。アンケートをわかりやすいものにすることも、回答率アップにつながります。
住民アンケートを行う最大のメリットとは?
住民アンケートを行う最大のメリットは、前述の通り住民目線の不具合が発見できることです。アンケート内に「ご意見・ご要望などがありましたらご記入ください」と自由記入欄を設けることで、「よりよい環境づくり」に活かせる住民の要望などを知ることもできるでしょう。
また、住民アンケートを行うことは、近日中に大規模修繕を行うことの告知にもなります。張り紙や説明会などでも当然告知は行いますが、「大規模修繕が間近に迫っている」と実感してもらうことができるのは、実際に回答してもらう住民アンケートのほうだと言えます。アンケートを活用し、大規模修繕をスムーズに進めていきましょう。
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