要注意! 大規模修繕時のアスベスト問題について
- 2019/12/4
- カテゴリ: 基礎知識
比較的新しいマンションでも大規模修繕時にはアスベスト問題に要注意
マンションの大規模修繕を行う際には、いくつか注意しなければならない点があります。その中でも細心の注意を払う必要があるのが、アスベスト(石綿)の問題です。
現在アスベストの使用は全面的に禁止されていますが、2006年までに建てられた建物には使用されている可能性があります。そのため、比較的新しいマンションであっても注意が必要です。そこで今回は、大規模修繕の前に行うべきアスベスト対策についてご説明します。
今も無視できないアスベスト問題とは?
現在、アスベストを0.1%超えて含有するすべてのものの製造、輸入、譲渡、提供、使用が禁止されています。しかし、2006年以前に建てられたマンションには多くのアスベストが使用されているケースも少なくありません。
そもそもアスベストとは、天然に産出された繊維状ケイ酸塩鉱物を指します。保温・断熱・防音といった効果があることから、日本には1970年から1990年にかけて大量に輸入され建築物に使用されていました。
しかし、アスベストの繊維は極めて細く、建築物用に研磨や切断といった加工をする際や、吹付け石綿などを除去する際などに、その繊維が飛散して人が吸入してしまう危険があるのです。これは肺線維症や悪性中皮腫の原因となる場合があります。さらには肺がんを起こすリスクもあることから、2006年9月に労働安全衛生法施行令が改正され全面禁止となっています。
大規模修繕時にアスベストが飛散するリスク
アスベストは、内外装の仕上げ塗材に含まれていることが一般的です。そのため、大規模修繕時にひび割れを補修するために壁に穴を開けたり、塗装を剥がしたりする際、塗材に含まれたアスベストが飛散します。
そうなれば、修繕を行っている作業員はもちろん、そこに住む住民にも大きな影響を及ぼすことになります。環境再生保存機構が発表した「アスベストによる健康被害の実態」を見ると、2017年に中皮腫で死亡された方の人数は1,555名です。
もちろん、これは1960年代からの潜伏期間を経ての結果ではあります。しかし、現在でもアスベストをどの程度吸い込んだら発病するのかといったことは明らかになっていません。そのため、吸い込む量が少量であっても将来的に発病するリスクはゼロではないのです。
大規模修繕を安全に行うためのアスベスト対策とは?
大規模修繕時のアスベスト飛散リスクを避けるには、吹付け石綿や石綿含有保湿剤などの特定建築材料や、石綿含有成形板などが使われていないかといった事前調査が欠かせません。
また、事前調査を行って出た結果に関して、「調査を行った者の氏名もしくは名称、住所(所在地)」「調査が終了した年月日」「調査方法」「特定建築材料の種類と場所」といった内容を、修繕工事の開始時から終了時までマンション内の掲示板に掲示する必要があります。
2006年以前に建てられたマンションの大規模修繕を行う際は、作業員、住民双方の安全を確保するためにも、必ずアスベストの事前調査を行いましょう。
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