大和の大規模修繕コラム

熊本地震から考える”耐震基準”

  • 2016/4/30
  • カテゴリ: 安全

熊本地震から考える耐震基準熊本地方を中心にマグニチュード6.5、最大震度7を観測した熊本地震。2016年4月14日に発生したこの前震、16日に発生した本震により、今も多くの人々が避難生活を余儀なくされ、不安な日々を送っています。

テレビや新聞などから伝えられた映像からは、一部が崩壊した熊本城や倒壊した建物など、ショッキングな場面が映しだされました。まだ記憶に新しい東日本大震災の光景を重ねあわせた人も少なくないはずです。

そこで今回は「熊本地震から考える“耐震基準”」をテーマに、建物の耐震基準についてお伝えします。いつ身近で大きな地震が発生してもおかしくないだけに、建物の耐震について知ることで、マンション管理にも活かしましょう。

「より安全なマンションに住みたい――」

阪神・淡路大震災の発生以降、マンションの耐震性に対する関心が高まっています。耐震性に優れた、安全性がより高いマンションを選びたいというニーズが生まれ、物件を選ぶ際の大きな基準となっています。

教訓から生まれた「新耐震基準」

現在適用されている建築基準法の大部分は、1981年に改正されました。この改正のきっかけとなったのが、1978年に発生した宮城県沖地震(マグニチュード7.4、最大震度5)です。この地震では家屋倒壊などの大きな被害をもたらし、その教訓から建築基準法の大きな改正につながった経緯があります。

この時の改正で定められた新耐震基準では、「震度5強程度の中規模地震では軽微な損傷、震度6強から7程度の大規模地震でも倒壊を免れる」強さが必要であることが義務づけられました。

阪神・淡路大震災で効果を発揮

そして建築基準法の改正から14年後の1995年に阪神・淡路大震災が発生しました。改正後に建てられた建物のうち、80%が軽微もしくはまったく被害がなく、倒壊した建物はわずか3%にとどまりました。しかし改正前に建てられた建物に関しては、6%ほどが倒壊したとされています。

改正前と後での建物では、耐震性・安全性に大きな差が生まれたのです。まさに新耐震基準の効果が証明された瞬間でした。

耐震・免震・制震の違い

建物における耐震基準の重要性に注目が集まる昨今ですが、建物の地震に対する構造には耐震・免震・制震の3種類があります。その違い、分かりますか?

説明 効果
耐震

筋交いや補強金物などで強化し、建物自体を頑丈なつくりにすることで、地震による倒壊を防ぐ

(PICK UP!)建物の揺れ自体は減少せず、二次災害を避けにくい

免震

建物と地面の間にゴムなどの装置を設置し、地震の揺れを建物に伝わりにくくする

(PICK UP!)建物内の揺れおよび家具転倒はほとんどなく、二次災害を避けやすい

制震

建物のさまざまな部分に特殊な装置を設置し、振動を吸収する

(PICK UP!)建物内の揺れを軽減することができ、二次災害も軽減できる

それぞれの構造にはメリット・デメリットがあります。なかでも免震は、工事工程が多くコストがかかってしまいます。また制震も特殊な装置を使用するため、コストがかさみがちです。

そのためコスト面や手間の面からみて、実情では耐震で建てられたものが多くなっています。またどの構造で建てられたかによって、メンテナンス方法は異なってきます。

まとめ

日本は巨大プレートの合流地点に位置し、また活火山が多く“地震列島”とも言われています。残念ですがこの先も地震が発生することは避けることができません。管理組合が考えなければいけないのは、「いかに被害を少なくするか?」ということです。

大規模修繕などの機会に、工事業者と一緒に「マンションの耐震性」について話し合ってみましょう。きっとよいアドバイスがもらえるはずです。

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