大和の大規模修繕コラム

マンションの大規模修繕費用を減価償却として計上可能?

  • 2018/4/25
  • カテゴリ: 金銭

ビル管理者、経営者にとって大規模修繕は一大イベント

ビル管理者、経営者にとって大規模修繕は一大イベント東京都都市整備局が2013年3月に発表した「マンション実態調査」によると、都内のすべての分譲・賃貸マンションの大規模修繕工事にかかった費用で一番多かったのは101~500万円で46.5%、次に多かったのが501~1000万円で23.8%という結果が出ています。もちろん毎月の積立など準備はしているものの、それでもこれだけの出費となると考えなくてはならないのが税金対策です。そこで今回はマンションの大規模修繕費用を減価償却として計上が可能なのか、もし可能であればいくらまで可能なのかといったことについて詳しくご紹介します。

マンションの大規模修繕とは?

建築基準法第2条14号によると、「大規模の修繕(とは)建築物の主要構造部の一種以上について過半の修繕をいう」と明記されています。ちなみに主要構造部とは「壁、柱、床、はり、屋根、階段」であり、これらを一か所以上、それぞれについて半分以上を新しいものと交換するなどして、劣化した部分を修復する場合、「建築確認」という国への審査手続きが必要になります。これが法律による大規模修繕です。

これに対してマンションで行われる一般的な大規模修繕は、外壁や鉄部の塗装、コンクリートの補修、吸水、排水管の補修、屋上やバルコニー部分の防水塗装など主として共有部分とされるエリアの劣化に対する補修工事であり、建築基準法でいうところの大規模修繕とまったく同じものというわけではありません。そのため国に対して行う建築確認も必要としない場合がほとんどです。

資本的支出と修繕費の違い

大規模修繕を行った際、会計上は資本的支出もしくは修繕費として計上します。この2つの違いは次の通りです。

資本的支出

固定資産の使用可能期間を延長したり、価値を増加させたりする部分に支出する金額を指します。マンションの大規模修繕でいえば、耐震補強や防水加工することは、建物の価値を高めるということで資本的支出となります。

修繕費

修繕費とは基本的には原状回復、通常の維持管理の範囲内、もしくは費用が少額であったり、周期サイクルが短い修繕であったりする場合は修繕費として計上されます。例えばマンションの外壁が剥げてしまった際に塗装をし直すといった場合がそれに該当します。

資本的支出か修繕費か明確に分けることができない場合、60万円未満の費用であること、または修理する資産の前期末所得価格の10%未満の費用で合った場合は、修繕費となり、それ以外は資本的支出として計上します。ただし費用が60万円未満であっても、それを行うことで明らかに建物の価値が上がるといった場合は資本的支出となる場合もありますので注意が必要です。

資本的支出は減価償却としてどのぐらい計上できる?

資本的支出は減価償却としてどのぐらい計上できる?冒頭でもご紹介したように、マンションの大規模修繕の多くは100万円以上の費用がかかります。そのためほとんどの場合、修繕費ではなく、資本的支出として計上されることになります。そして資本的支出は建物の償却期間に応じて減価償却を行うことになります。

償却期間は、マンションの構造によって変わります。鉄骨造であれば34年、RC(鉄筋コンクリート)造であれば47年です(新築か中古かにかかわらず)。そのためRC(鉄筋コンクリート)造のマンションで、大規模修繕に100万円かかった場合、年間で約2万円しか経費として処理することができません。そのため長期間での償却は税金対策としては有効です。しかしすでにかなりの年数が経っている場合、修繕に500万円以上かかるといったケースもあり、かなりの負担になってしまうこともあります。お悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。

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