大和の大規模修繕コラム

どうして修繕積立金は不足するのか?

  • 2015/6/4
  • カテゴリ: 金銭

どうして修繕積立金は不足するのか?「修繕積立金が足りない・・・」
これは、大規模修繕に際して多くの管理組合が直面するトラブルです。大規模修繕が必要な段階になって修繕積立金が不足していると、資金集めに大きな労力を費やすことになってしまいます。資金集めがうまくいかず大規模修繕が遅延すれば、マンションの老朽化も加速していき、結果的に資産価値を下げることになってしまいます。

今回は「修繕積立金がなぜ不足するのか?」、次回は「修繕積立金が足りない場合はどうすればいいのか?」を解説していきましょう。

そもそも修繕積立金とは?

管理費が共用部分の清掃や維持管理の費用に充てられるのに対し、修繕積立金は共用部分の修理・保全の費用に充てられるお金です。修繕工事・大規模修繕工事が必要になったときに備えて、すべての入居者から徴収して毎月蓄えておきます。

修繕積立金が足りなくなるのはなぜ?

大規模修繕計画を作成する段階になって、「修繕積立金が足りない」という現実に直面するケースは少なくありません。なぜ、多くのマンションで修繕積立金が不足してしまうのでしょうか?

01:当初の金額設定が低く、値上げが難しい

新築マンションの場合、販売しやすくするために修繕積立金を低く設定しているところがほとんどです。当初の金額のままでは、然るべきタイミングが訪れたときに修繕積立金が不足してしまうため、数年ごとに値上げしてカバーしようと想定しているマンションがほとんどですが、これがうまくいくとは限りません。

修繕積立金の値上げとなると、当然入居者からの反対が出ます。結局、値上げは先送りにされていく傾向にあり、大規模修繕のタイミングになっても必要な修繕積立金が不足しているという状況に陥るのです。

02:滞納者の増加

修繕積立金を滞納する入居者が増えてくれば、結果的に足りなくなるのは明白です。特に近年は、入居者の高齢化が進んでおり、分譲マンションの居住者の2人に1人が60歳以上であるとも言われています。所得が低い入居者の割合が増えるほど、修繕積立金の滞納者も増加する傾向にあります。

03:見込みの甘い長期修繕計画

基本的に、修繕積立金を算定する根拠になるのは長期修繕計画です。しかしながら、ほとんどの長期修繕計画は、必要最低限の金額しか見込まれていません。そのため、突発的な修繕などが発生して支出があると、修繕積立金は不足してしまいます。

また、マンションは古くなっていくほどメンテナンスコストが増大していきます。つまり、最初の大規模修繕の費用より、2回目・3回目の大規模修繕の費用のほうが高くなるわけです。このことが考慮されていないと、特に古いマンションでは修繕積立金が不足することになります。

長期修繕計画は定期的に見直しましょう

新築マンションの場合、デベロッパーが指定した管理会社が修繕積立金を決定するのが当たり前になっています。最初の修繕積立金は、売主・管理会社の都合で決められているとも言えるでしょう。しかし本来、修繕積立金の金額を決めるのは管理組合。管理組合の責任で、適正額の修繕積立金を蓄えなければいけません。

管理組合に求められることは、マンションに適した長期修繕計画に更新し、計画の実現に必要な修繕積立金を設定すること。そして、建物の状態を正確に把握して、常に修繕積立金の過不足を意識すること。精度の高い長期修繕計画をキープできれば、「さあ、大規模修繕だ!」となったときに慌てることもないはずです。

カテゴリ