マンションやビルの屋上部分の工法~アスファルト防水~
- 2017/11/30
- カテゴリ: 屋上
大規模修繕工事でも欠かすことのできない屋上防水工事
マンションやビルの屋上は、一般的な家屋と違い平面になっていることが多いうえ、普段あまり立ち入ることがないので野ざらし状態になりがちです。そのため、劣化が進んでいても気づかない可能性があります。屋上を劣化したままで放置していると、雨漏りの原因になることはもちろん、建物の骨格となる鉄筋コンクリートの劣化を早めることにもつながるので、防水処理とメンテナンスが必須です。
そこで今回は、マンションやビルの屋上で用いられる防水工法の一つである、“アスファルト防水”について詳しくご紹介します。
そもそも屋上防水工事が必要な理由って?
そもそも防水とは、建物の中に雨水などの水が入り込まないようにするために行います。一般的な瓦張りの家屋であれば、屋根に勾配がついているため、雨が降っても下に流れ落ちるので屋根に水が滞留することはありません。
しかし冒頭でもお伝えしたように、ビルやマンションの場合は屋上が平面になっているので勾配がありません。そのため瓦張りの屋根に比べ排水がされにくく、水が滞留しやすくなります。水が屋上に一定時間滞留していたとしても新築時であれば問題ありませんが、経年劣化が進みコンクリートに亀裂が生じれば、そこから水が浸水しやがては雨漏りやさらなるコンクリートの劣化が引き起こされることとなります。屋上防水工事はこれらを防ぐために必要なのです。
アスファルト防水のメリット、デメリットとは?
今回ご紹介するアスファルト防水は、屋上防水工事の工法の一つで、合成繊維不織布にアスファルトを含ませてコーティングしたシート状の防水材料(ルーフィング)を貼り重ねていくものです。
この工法のメリットは、多くのビル、マンションなどの防水工法として、古くから行われてきた工法のため信頼性が高い点が挙げられます。また耐用年数が20年程度と、ほかの工法に比べ長いこと、施工後すぐに防水性能を発揮することなどが挙げられます。
デメリットは、以前に比べれば工法の改善により少なくなったものの、アスファルトを高熱で溶かすため、不快な臭いと煙が発生すること、火災ややけどのリスクがあることです。またほかの工法に比べ手間が多く、コストも若干高めになります。さらにルーフィングを貼り重ねたうえに保護モルタルを貼る必要があるため、屋根が重くなってしまうのもデメリットです。
アスファルト防水には3つの種類がある
アスファルト防水には大きく分けて、保護工法、露出工法、トーチ工法の3つの工法があります。
1. 保護工法
ルーフィングを溶解アスファルトによって下地に接着積層し防水層を形成します。その後、コンクリートやモルタルを表面に打設し、防水層を保護することから保護工法と呼ばれています。耐用年数が17~20年と長期に亘りますが、高温アスファルトで施工されるため、改修工事には向きません。
2. 露出工法
基本的には保護工法と同じ工法ですが、コンクリートやモルタルではなく、保護塗料を塗布することで紫外線から防水層を保護する工法です。保護工法に比べ屋根に重みがかからないメリットがありますが、耐用年数は13~15年と少し短くなります。こちらもどちらかというと新築向きの工法です。
3. トーチ工法
ルーフィングに含まれるアスファルトが、保護工法や露出工法とは違う改質アスファルトを使用します。このルーフィングをトーチバナーで熱融着させ、水密性の高い防水層を形成する工法です。上記2つの工法に比べ、工程が少なく、高温のアスファルトを使用しない、安全性も高くなります。耐用年数は13~15年ですが、改修工事であれば、この工法がおすすめです。