大和の大規模修繕コラム

ご存じですか?マンションの標準管理規約が改正されます

  • 2016/1/31
  • カテゴリ: 規約・法律

マンションの“憲法”である「管理規約」。それぞれのマンションごとに、「ペットの飼育は禁止」「管理費と修繕積立金をこんなやり方で負担していこう」などのルールを定めるものです。この管理規約の基礎となる「標準管理規約」を、今年度中にも改正すると国土交通省が発表しました。

ご存じですか?マンションの標準管理規約が改正されます現在はマンションの居住者の中から、管理組合の役員が選ばれていますが、今回の規約改正により、マンション管理士などの外部の専門家が、管理組合の役員に就任することが可能となります。この改正、マンション管理の現場にどのような影響があるのでしょうか?

「2つの老い」に苦しむマンション管理

深刻な高齢化・人手不足に苦しむマンション管理

マンション管理の現場は今、深刻な高齢化や人手不足に悩まされています。国交省の統計によれば、持ち主の半数が60歳以上(2013年度)とのこと。深刻な高齢化が浮き彫りとなりました。日本の少子高齢化と密接に結びつくマンション管理の高齢化問題。管理の現場では、今後はさらに高齢化が進んでいくことが容易に想像できます。

マンションから子どもや若い世代が消え、残された高齢者で維持・管理していかなければならない。そんな光景は近い将来、当たり前のものになっていくでしょう。また年金収入のみに依存する高齢者からは、管理費や修繕積立金が徴収できないなど、高齢化は様々な問題を生み出しています。

老朽化がさらなる追い打ちをかける

老朽化がさらなる追い打ちをかける居住者の高齢化と同時に、マンションの老朽化も押し寄せてきます。築30年以上が経過したマンションは全国で140万戸(2014年・国交省)。今後はさらなるスピードで老朽化したマンションが増えていきます。修繕がしっかりと行われないマンションには、新しい入居者が入らずにさらに高齢化が進んでいく負の連鎖が発生します。

「高齢化」と「老朽化」。いま、マンション管理はこの「2つの老い」に苦しんでいます。

マンション管理に外部から新しい風が吹き込む

今回の標準管理規約の改正は、これらの問題に悩む多くの方々にとって朗報となるかもしれません。改正後は専門知識を持ったマンション管理士や建築士などが、報酬を得て管理組合の理事や監事に就任できるようになります。また理事長や副理事長も引き受けられるようになります。マンションの持ち主からしか選ぶことのできなかった管理組合の役員。そこに外部からの専門家を招き入れることにより、この「2つの老い」が一気に解消の方向へ向かうかもしれません。

ただし十分な注意も必要です。たとえば外部の建築士が役員になった場合、自分の関係先の業者に工事を発注することも考えられます。法外な金額で工事を発注して、キックバックを得るといった不正が起きる恐れもあります。そこで今回の改正では「理事会の承認を得る必要がある」などの防止策も検討されています。

標準管理規約改正の検討点
  • 管理組合の役員に外部の専門家が就任可能に
  • 「管理費をコミュニティー活動に使える」という規定の削除
  • 災害時に共有部分の補修などを、理事長の判断や理事会の決定でできるようにする
  • 災害時に緊急措置として、理事長が専有部分に立ち入ることを可能にする など

マンションで幸せに暮らすために

今回の標準管理規約の改正が、深刻な高齢化・老朽化に悩むマンション管理にとっての「吉報」となってほしいものです。現在では都市部を中心に、マンションを「終の棲家」と考える人も多くなりました。豊かな安全なマンションでの豊かな生活を維持するためにも、今回の改正に寄せる期待は大きなものがあります。

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