大和の大規模修繕コラム

大規模修繕完全マニュアル(9)着工から竣工までに管理組合がすべきこと

  • 2015/3/27
  • カテゴリ: 基礎知識

大規模修繕完全マニュアル(9)着工から竣工までに管理組合がすべきこと施工業者を選定し、総会決議や工事説明会で居住者の理解を得たら、いよいよ大規模修繕工事のスタートです。もちろん「すぐに着工」でもいいのですが、降雪・降雨時は外壁の塗装や防水などの作業ができないため、地域によっては適切なタイミングを選んだほうが良いケースもあります。晴れの日が多く、気候が穏やかな春(2~5月)か、秋(9~11月)に着工できれば理想的です。

ただし、マンションの規模や施工範囲によっては、工期が半年近くに及ぶこともあります。工期に関しては施工業者と事前の打ち合わせをしっかり行い、丁寧な説明を通して居住者の理解を得てからスタートしましょう

着工後に管理組合が果たすべき「3つの役割」

工事が始まったからといって、管理組合側でやるべきことがなくなるわけではありません。着工後は、「防護ネットによる日照・通風の制限」「溶剤の臭気充満」「重機の騒音・振動」「共用部の使用制限」といった要因によって、居住者が不満を抱えやすい状況になりがちです。管理組合は、居住者と施工業者の間に立って緊密な連絡や共有を行わなければいけません

01 「定例会」に参加する

「どんな工事をしているのか分からない」「問題にどう対応してくれるのか分からない」といった不安を解消し、スムーズに工事を進めていくために行われるのが「定例会」です。工事期間中に定期的に開催され、管理組合・工事監理者・工事業者の3者が出席するのが一般的です。

定例会の主な議題
前回の定例会で話し合われた内容の確認 工程の進捗状況、および直近の作業予定の報告
工事に関する問題点・苦情などの報告、および対処方法の検討 着工後に発覚した問題にともなう新規工法採用の承認
追加・軽減工事の内容確認、および工事費追加・減額の承認 着工前に決まっていなかった細かな仕様やメーカーの決定
悪天候などによる工期遅れの報告、および工期延長の検討 管理組合側への申し入れ事項の確認・検討

工事中に事故が発生すると、業者だけでなく管理組合が責任を問われたり、工事を中断せざるを得ない状況になったりすることもあります。重大な事故やトラブルが起きないように、また新たに決定した事項について理解・協力を得られるように、「定例会」で話し合われた内容は居住者にくわしく報告する必要があります

02 情報発信・苦情対応の窓口になる

居住者の不安や不満を放置してしまうと、思わぬ大事に発展することがあります。「洗濯物が干せない」「窓が開けられない」「エレベーターが使えない」など、生活に支障が及ぶ場合は必ず居住者に周知しておきましょう。エントランスなどに専用の掲示板を作る、全戸にお知らせの資料を配布するなどして、あらかじめ「不都合が起こり得る可能性」を知っておいてもらうことが重要です。

また、居住者からの苦情やクレームを受け入れる体制づくりも必要です。意見箱などを設置すれば、マンション内の人間関係を守れるだけでなく、何かあったときに問題を把握したり業者に改善を促したりするうえで必要な情報を収集できます。

03 「居住者目線」で工事をチェックする

大規模修繕がどんな具合で進んでいるのか、問題の種は潜んでいないか、管理組合のメンバーが「居住者目線」で確かめるようにしましょう。責任施工方式の場合は理事会(修繕委員会)が工事監理の責任を果たさなければなりませんが、管理会社施工方式や設計監理方式の場合も「住みやすさ」という観点からチェックすることをおすすめします。

主なチェックポイントは、工事工程計画(施工項目ごとのスケジュール)や施工状況(施工品質)、居住者に対する安全管理施策(適切に注意喚起されているか、危険箇所は明示されているか、監視などが日常的に行われているか)などです。責任施工方式なら厳密な工事監理によって、管理会社施工方式・設計監理方式なら工事監理者からしっかり報告を受けることによって、大規模修繕を成功へと導きましょう。。

竣工後に管理組合が果たすべき役割

工事作業が終わったら、工事監理者および施工業者が中間検査・竣工検査を実施します。ここで問題がなければ、晴れて大規模修繕の完了となります。

責任施工方式の場合 管理会社施工方式・設計監理方式の場合
理事会(修繕委員会)で修繕プランと照らし合わせながら確実な工事が行われたかを検証し、施工業者と工事完了引渡し書を取り交わします。 監理業務を委託した会社から提出された報告(工事監理報告書)を確認し、工事完了引渡し書を取り交わします。
責任施工方式の場合 理事会(修繕委員会)で修繕プランと照らし合わせながら確実な工事が行われたかを検証し、施工業者と工事完了引渡し書を取り交わします。
管理会社施工方式・設計監理方式の場合 監理業務を委託した会社から提出された報告(工事監理報告書)を確認し、工事完了引渡し書を取り交わします。

管理組合は、大規模修繕をスムーズに進めるための「潤滑油」となる存在です。マンションの大規模修繕を手がける大和では、管理組合様の負担やトラブルのリスクを減らすために様々なサポートを行っておりますので、ご不明な点はお気軽にご相談ください。

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