大和の大規模修繕コラム

大規模修繕完全マニュアル(6)大規模修繕の基本計画

  • 2014/9/17
  • カテゴリ: 基礎知識

「大規模修繕前の建物調査・診断」が終わったら、診断結果を踏まえて、大規模修繕の基本計画を策定します。誰が基本計画を行うかは、「大規模修繕の発注・契約方式」で解説している発注・契約方式によって変わってきます。

【責任施工方式】・・・・複数の工事業者に提案書を出してもらいます。
【管理会社施工方式】・・管理会社が基本計画を作成します。
【設計監理方式】・・・・設計事務所などのコンサルタントが基本計画を作成します。

基本計画で行うこと

大規模修繕の基本計画では、建物調査・診断の結果に基づき、「いつ工事を実施するのか?」「どんな材料・数量で、どんな工法で、どのような修繕工事を行うのか?」といった計画を立て、概算費用を求めます。大規模修繕の工事前において、もっとも重要な作業であると言えます。

基本計画で行うこと基本計画では、大規模修繕を行う意義をはじめ、修繕工事の範囲・内容、工法や工期、使用部材の単価・数量などを具体的に設計図面、工事仕様書、見積内訳書などに落とし込みます。基本計画の目的の一つは大規模修繕の概算(工事見積額)を出すことですが、ここで管理組合が注意しなければいけないのが、金額の妥当性の見極めです。簡単に言えば、基本計画で導き出した工事見積額は適正なのかどうかをジャッジすること。高いのであればコストダウンの方法を考えなければいけませんが、コストダウンによって管理組合が望む工事内容が満たされなくなってしまうのであれば本末転倒です。

とはいえ、工事見積額の妥当性を判断するのは、ある程度、業界に精通していなければ困難です。妥当性を判断するためには、信頼できるコンサルタントの力を借りるのも一つの手です。

無理のない資金計画を!

大規模修繕の費用を概算した結果、修繕積立金が不足している場合は対策を講じなければいけません。以下のように様々な対策が考えられますが、大きく分ければ、「コストを下げる」「資金を調達する」のいずれかです。大規模修繕の緊急性や必要性などを踏まえ、無理のない資金計画を立てましょう。

・工事の仕様や材料のグレードを見直す
・修繕する範囲を縮小する
・大規模修繕を延期して、その間に積み立てる
・不足分を一時金として徴収する(居住者に大きな負担を強いる場合は、合意形成が困難になります)
・住宅金融公庫などの融資を利用する

基本計画で気を付けたいこと01

基本計画で気を付けたいこと01基本計画で算出した工事見積額ギリギリで予算を組むのはNGです。どれだけ入念な建物診断を行ったとしても、実際に工事が始まってから新たな不具合・問題が見つかるケースも多く、そうなると費用も上乗せになってしまいます。

大規模修繕の予算を組む際のポイントは、仕様変更や追加工事を想定しておくこと。イレギュラーに対応できるよう、10%程度は余裕を持って予算を考えておきましょう。

基本計画で気を付けたいこと02

管理会社施工方式で大規模修繕を行う場合、注意したいことがあります。そもそも、管理会社というのは、大規模修繕の工事費が高くなればなるほど、多くの利益を得られる立場にあります。そのため、本来必要のない工事も含めて基本計画を立てる管理会社も少なくありません。この基本計画を承認するのはお金の無駄遣いでしかなく、管理組合も居住者も大きな不利益を被ってしまいます。管理会社施工方式で大規模修繕を進めている管理組合様は、基本計画の細部に至るまで説明を求め、納得のいくまでコストをコントロールするようにしましょう。

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