大和の大規模修繕コラム

マンションのバルコニーからの転落事故を防ぐために

  • 2014/12/24
  • カテゴリ: 安全

マンションの危機管理には様々な事項がありますが、人命に関わる危機管理には最優先で取り組まなければいけません。というのも昨今、マンションのバルコニーからの転落事故が続発しているからです。

バルコニーからの転落事故

バルコニーにある物を足場にして子供が転落する

2010年3月、東京都八王子市のマンションの14階バルコニーから3歳男児が転落して死亡する事故が起きました。事故当時両親は不在で、一人でいた男児がベランダに置いてあった荷物に乗っているうちに誤って手すりを越えて転落したとみられています。

同年4月にも、千葉県印西市のマンションの12階バルコニーから4歳男児が転落して死亡する事故が起きています。母親が5分ほど外出した間に、男児がバルコニーに置いてあった椅子を使い、誤って手すりを乗り越えたとみられています。

バルコニーの手すりが外れて(壊れて)転落する

2006年8月、愛知県西尾市の県営住宅で3階のバルコニーから男性が転落して骨折する事故が起きています。バルコニーの手すりの格子を留めるピンが一部外れており、遊びに来た友人がバルコニーに出ようとした際にバランスを崩して格子に衝突し、格子5本を壊して1階へ転落しました。

2007年4月にも、岐阜県美濃加茂市のアパートで、2階のバルコニーの手すりが外れて、妊娠7ヶ月の女性が転落。骨盤骨折などの重傷を負ったうえに、胎児が死亡する事故が起きています。

転落事故を防ぐために管理組合ができること

マンションのバルコニーからの転落事故を防ぐために、管理組合がやるべきこと・検討すべきことをご説明します。

居住者に注意喚起する

居住者に転落事故が増えていることを伝え、注意喚起することは最低限必要です。特に、小さなお子さんが多いマンションはなおさらです。建築基準法では、手すりの高さは110cm以上と定められています。まだ背が低いから手すりは乗り越えられないはずだと思っていても、上述の事故のようにバルコニーに置いてある物やエアコンの室外機を使って手すりによじ登ってしまうことがあります。子供は頭が大きく重いため、上半身が手すりを越えるとバランスを崩して転落してしまうのです。

居住者に注意喚起する監督すべきは両親ですが、管理組合としても積極的に注意喚起を行うことが重要です。

・バルコニーに高さのある物を置かない
・子供がバルコニーに自由に出られる状態にしない
・バルコニーで遊ばせるときは子供から目を離さない
・子供を家に一人にしない(一人にするときは必ずバルコニーの窓を施錠する)
・子供に、バルコニーには転落の危険があることをしっかり教える

手すりの状態を確認する
手すりの状態を確認する

多くの管理組合にとって、バルコニーは意外な盲点になっていると思います。共用部分であるバルコニーの不具合は、管理組合が主体となって定期的な点検を行い、必要に応じて補修しなければいけません。「大規模修繕のタイミングでいいや」ではなく、定期的なチェックと補修が重要です。
・手すりの高さは十分か(法定の110cm以上は最低限)
・手すりに損傷や腐食・錆びはないか
・手すりのビス止め部分などに緩みやガタつきはないか

転落防止ネットを付ける

最悪の事態を想定するなら、転落防止ネットを付けることも考えたほうがいいでしょう。事故が起きてから、「ここにネットがあったら・・・」と言っても、どうしようもありません。マンションの美観が損なわれることが懸念されるかもしれませんが、人命には代えられません。

万が一、バルコニーからの転落事故が起きてしまったら・・・ご家族の心情は察するに余りあります。1回でも事故があれば、転居を考える居住者も出てくるはずですし、そこに引っ越してくる人もいなくなるでしょう。取り返しのつかないことになる前に、管理組合としてできることを実践していきましょう!

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