大和の大規模修繕コラム

待ったなし! マンションのバリアフリー化を考える

  • 2016/9/30
  • カテゴリ: 改修

待ったなし! マンションのバリアフリー化を考える内閣府が発表した高齢社会白書(平成28年度版)によると、日本の総人口は2015年10月1日現在1億2,711万人。2014年度から95万人も減少しているそうです。その反面、全人口に占める65歳以上人口の割合(高齢化率)は、2015年10月1日時点で26.7%に達しています。

これは過去最高の数値で、この状況が続くと45年後の2060年の高齢化率は、なんと39.9%と予測されています。じつに日本人の5人に2人が、65歳以上の高齢者という計算になります。

恐ろしいほどのスピードで高齢化が進んでいく日本社会で、マンション居住者の高齢化も大きな問題となっています。しかし居住者の意見を取りまとめながら運営を行うマンションでは、修繕金の積立てなどもあり、簡単にバリアフリー化の工事ができるとは限りません。

そこで今回はマンションのバリアフリー化をピックアップ。居住者がいつまでも安心して暮らせる住環境づくりについて考えます。

バリアフリー化の重要性

マンション居住者の高齢化の背景には、永住に対する意識の変化もあるようです。マンション総合調査(国土交通省発表:2013年度)によると、1980年にはマンションに永住するつもりであると回答し居住者は21.1%だったのに対し、今回の調査では52.4%もの居住者が永住するつもりであると回答しています。この結果からも、マンションを“終の棲家”と考える人が増えているようです。

管理組合にとってバリアフリー化を推し進めることは、高齢の居住者が安心して暮らせる環境づくりという点で重要となのです。

バリアフリー工事に関する補助金制度

マンション居住者の高齢化が進んでいることを背景に、バリアフリー化工事に補助金を支給する自治体もあります。たとえば横浜市では、傾斜路、手すり、エレベーターを新たに設置する工事において、管理組合あたり30万円を限度に支給、もしくは手すり設置に関する工事の場合は、1住戸当たり8千円のどちらか低い金額が支給されます。

自治体によっては申請期間が限定されていたり、マンションによっては申請が認められないケースもあるようです。補助金の申請をする際は、あらかじめ修繕計画を作成して自治体の要綱を確認したうえで申請するようにしましょう。

室内の改修には“介護保険制度”が適用

室内の改修には“介護保険制度”が適用介護が必要になった居住者が出た場合は、手すりの取り付けや段差の解消、洋式便器への取り換えなど、住まいのバリアフリー化に介護保険が適用されます。介護が必要となった居住者と話し合い、必要な措置を確認しましょう。

もはやバリアフリー化は待ったなし

少し古いデータですが2007年の国土交通省の調査によると、1970年以前に建設されたマンションでの「60歳以上のみ」の居住者世帯の割合は平均約40%となっているそうです。また中層マンション(4~5階建て)で、エレベーターが設置されているのは、わずか6%という結果も報告されています。

“マンションを終の棲家にしたい”と考える人の増加を考えると、マンションのバリアフリー化は喫緊の課題です。マンションの大規模修繕を機会に、管理組合でバリアフリー化について話し合ってみましょう。

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