大和の大規模修繕コラム

大規模修繕完全マニュアル(10)竣工後に行うべき管理組合の最後の仕事とは?

  • 2015/5/11
  • カテゴリ: 基礎知識

大規模修繕完全マニュアル(10)竣工後に行うべき管理組合の最後の仕事とは?大規模修繕は実に長い道のりを辿り、やっとのことで竣工を迎えます。竣工までの間、何のトラブルも無くスムーズに進むことのほうが稀であり、管理組合は様々な困難に出くわすと思います。それだけに、大規模修繕が竣工を迎える瞬間は感慨もひとしお。まさに、肩の荷が下りる瞬間ですね。

「やっと終わった!」と解放感に浸りたくなる気持ちも分かりますが、管理組合にはもう少しだけ仕事が残っています。今回は、大規模修繕の竣工後のお話をしたいと思います。

大規模修繕工事が終わったら・・・

工事が終われば、確かに「今回の大規模修繕」は完了ですが、リニューアルしたマンションは永久にその美観と機能を維持できるわけはありません。そうです、竣工の日から再び汚れが蓄積していき、劣化がはじまっていくのです。そして十数年後、次の大規模修繕のタイミングを迎えるのです。

大規模修繕を終えた管理組合の最後の仕事――それは、次の大規模修繕を成功させるための第一歩です。次回の大規模修繕の際には、再び理事会・修繕委員会が組織され、新しいメンバーで取り組むことになります。次回のメンバーの負担を軽減するためにも、以下の2点を最後の仕事として全うしてくださいね。

01 長期修繕計画の更新・見直し

長期修繕計画とは、その名のとおり、マンションの修繕に関する長期計画のこと。次の大規模修繕を何年後に実施して、そのときまでに修繕積立金をいくら貯めておくなど、大まかな計画を記すものです。一般的には、管理組合が主体となって、管理会社や工事業者、専門家の協力を仰ぎながら作成・更新します。

長期修繕計画は「いつ更新する」という決まりはありませんが、大規模修繕工事が終わった直後には必ず更新するようにしましょう。工事直後は、マンションの状態を正確に把握できているため、それだけ精度の高い計画を立てることができるからです。今回の大規模修繕でやり残した工事の実施時期を決めるため、また次の大規模修繕に向けて精度の高い資金計画を立てるためにも、長期修繕計画の見直しを先送りにしてはいけません。

また、長期修繕計画は定期的に見直すことが大切です。「大規模修繕が必要な時期なのに工事資金が足りない・・・」というのはよくあるケースですが、これは避けなければいけません。ずっと同じ金額のままでは、将来、修繕積立金が足りなくなるおそれがありますので、長期修繕計画(資金計画)を定期的に見直し、必要に応じて修繕積立金の金額を上げるなど、タイムリーな対策を打つことが重要です。

02 自主点検の実施

02 自主点検の実施大規模修繕が終わった直後は、マンションの見た目もきれいで、機能面で不具合が生じることもないはずです。その工事が正しく行われたかどうかが分かるのは、しばらく時間が経ってからです。こういった不具合をすみやかに発見するためには、管理組合が定期的に自主点検をすることが大切です。

では、なぜ「すみやかに」発見する必要があるのか?――それは、工事には保証期間があるからです。自主点検の結果、施工不良による不具合が見つかれば、保証期間内であれば無償で修繕してもらえます。一方で、管理組合が自主点検を怠っている間に保証期間が過ぎてしまったら、たとえ不具合が見つかっても有償対応になってしまうのです。

上記の2点は、大規模修繕を終えた管理組合が取り組むべきことですが、いずれも継続的に対応していく必要があります。そのため、新旧役員の引き継ぎの際には、定期的に長期修繕計画を見直す必要性や、定期的に自主点検を行う重要性をしっかりと伝えるようにしてくださいね。

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