大和の大規模修繕コラム

大規模修繕完全マニュアル(8)総会決議&工事説明会とは?

  • 2015/2/27
  • カテゴリ: 基礎知識

大規模修繕完全マニュアル(8)総会決議&工事説明会とは?「施工業者の選び方」に続き、今回は、業者選びの次のプロセスとなる「総会決議」「工事説明会」についてご説明します。工事業者が決定しても、すぐに工事がスタートするわけではありません。マンションの居住者から工事金額・発注先の承認を得て、工事にともなう生活への影響などを説明してはじめて、大規模修繕の着工となるのです。

総会決議では何をするの?

大規模修繕を行うには、その工事費を負担する居住者から「工事金額や発注業者の決定に関する承認」を得る必要があります。そのための場が総会決議です。大規模修繕には大きく3つの発注・契約方式がありますが、どの方式でも留意すべきなのが、「透明性のある方法で業者を選ぶ」こと。不透明な業者選びは不透明なお金の流れを想像させます。居住者に疑念が生じると、総会決議で承認をもらえなくなる可能性もありますので注意しましょう。

「なぜその業者を選んだのか?」が明確でなく、説得力に欠ける説明だと居住者が納得せず、理事会への不信感につながります。揉めに揉めて大規模修繕ができない・・・ということにもなりかねないため、居住者にきちんと説明できる業者選びをすることが大切です。

緩和された「承認」のハードル

総会決議に関するルールは、国土交通省が平成16年に改訂した「マンション標準管理規約」に記載されています。これによると、共用部分の変更をともなわない大規模修繕工事は過半数決議で承認できることになっています。以前は、共用部分の変更があるケースもないケースも「4分の3以上の多数による決議」が必要でしたが、改正によって後者の決議要件が「過半数」に緩和されました。

現在の管理規約が「4分の3以上の決議が必要」となっていても、「過半数決議」で大規模修繕を進めることに問題はありません。ただし、トラブルが生じないよう、あらかじめ管理規約を過半数決議に改正しておくことをおすすめします。

工事説明会では何をするの?

工事説明会は、大規模修繕の工程や内容、工事をするにあたって想定される影響などを居住者に説明するための会合です。大規模修繕は様々な生活支障を招く可能性があるため、居住者の理解や協力が欠かせません。また、コミュニケーション不足が不慮の事故につながるケースもあります。工事によってより良い住環境を実現できることを伝え、居住者全体に協力姿勢を生み出すことが、大規模修繕を成功させるポイントです。

懸念を放置しない!

工事説明会では主に以下のようなデメリットがあることを説明し、対策を講じて居住者の理解・協力を仰ぎます。懸念を懸念のまま放置してしまうことは、居住者のイライラにつながるので要注意。少しの手間を惜しんで大きなクレームを受けないよう、丁寧な対応を心がけましょう。

大規模修繕工事で予想される主な懸念点
防護ネットによる日照と通風の制限 足場設置にともなう住居侵入リスクの増加
シンナーなどの溶剤による臭気被害や健康被害 振動被害や騒音被害
バルコニーの立ち入りや使用の制限 プランター類やアンテナなどの移動負担
エアコン室外機の移動・撤去・再設置負担 停電・断水
仮設トイレや資材置き場の設置にともなう制限 駐車場などの共用部の使用制限

居住者への説明は、施工業者、もしくは管理会社が中心になって行うことが多いので、管理組合の負担は大きくありません。ただし、説明会に出席しない人(できない人)もいますので、掲示板で情報を周知する、全戸にチラシを配るといった配慮も必要です。

大規模修繕は“基礎固め”が重要です

大規模修繕は居住者に様々なストレスを与えます。上述の「懸念点」を見れば、居住者の理解・協力を得るための総会決議・工事説明会が、いかに重要かお分かりいただけるでしょう。

業者選びのポイントにも共通しますが、総会決議や工事説明会までしっかりサポートしてくれる業者を選ぶことは、管理組合の負担を減らすことにつながります。大和では、総会決議や工事説明会で丁寧な説明を行っています。居住者が一体となってより良い住環境を目指していけるよう、“基礎”をしっかり固めてから大規模修繕工事に入るようにしましょう。

カテゴリ