大和の大規模修繕コラム

大規模修繕完全マニュアル(7)施工業者の選び方

  • 2015/1/29
  • カテゴリ: 基礎知識

大規模修繕完全マニュアル(7)施工業者の選び方大規模修繕の基本計画・資金計画が終わったら、次は施工業者選びです。どの施工業者に依頼するかは、工事の品質を左右する重大なポイントになります。とりわけ分譲マンションなどの大規模修繕工事においては、居住者からのクレームをはじめ様々な“トラブルの種”がまぎれ込んでいるもの。「あの業者に頼むんじゃなかった・・・」「もっと慎重に選んでおけばよかった・・・」などと後悔することがないよう、業者選びで気を付けるポイントを覚えておきましょう。

3つの発注・契約方式別に見るポイント

責任施工方式の場合

責任施工方式は契約した工事業者にすべてを任せられる“工事業者お任せ方式”のため、いい業者を見つけられれば大規模修繕はほとんど成功したようなもの。ですが、逆に見つけられなければ、失敗の可能性も高くなってきます。

メリット
  • ・窓口を一つにして工事業者にすべてを任せられるので、契約後は管理組合側の負担が少なくて済む
  • ・入札・公募などの方法で工事業者を選べるので、かかる費用を抑えることができる
デメリット
  • ・選んだ工事業者の経験や力量によって、工事の品質が大きく左右される
  • ・大規模修繕に詳しい組合員がいないと、いい業者を選ぶことが難しい

失敗のリスクを限りなくゼロに近づけるには、「マンション改修の実績が豊富なところ」「技術力があることをWebや資料で確認できるところ」を選ぶようにしましょう。

管理会社施工方式の場合

管理会社施工方式は、最も一般的な大規模修繕の進め方です。日常の管理業務を委託している会社に施工を頼めるので、何よりも安心。しかし費用は高くなりがちで、建物の規模によっては相場より1000万円以上高くなるケースもあります。

メリット
  • ・窓口を管理会社に一括できるので、業者選びから施工に至るまで管理組合側の負担が少なくて済む
  • ・アフターフォローの窓口も同じになるので、施工後に不具合が見つかったときにもスムーズに対応してもらえる
デメリット
  • ・契約している管理会社に任せると競争原理が働かないため、施工費用が高くなる傾向にある
  • ・管理会社が工事業者を選ぶため、管理組合にとっては業者の経験や力量が分からない(チェックしにくい)

管理会社施工方式は業者選びをする必要がない方法(そのプロセスをカットしたい管理組合のための方法)ですが、自分たちの資産を守る上で最低限のチェックは必要です。管理会社に資料を見せてもらうなどして、工事内容や費用の妥当性を確認したり、手抜き工事がないか牽制をきかせたりしましょう。

設計監理方式の場合

設計監理方式では、まずはパートナーとなるコンサルタントを決定し、そのコンサルタントのアドバイスを受けながら工事業者を選ぶ形が一般的です。いいコンサルタントと出会えなければ、質の低い工事に割高な費用を払うことになってしまいます。

メリット
  • ・第三者が診断・設計・工事監理を行うため、工事の品質が保たれやすい
  • ・コンサルタントに専門家ならではのアドバイスをもらいながらフラットに工事業者を選べるので、工事費用を抑えることができる
デメリット
  • ・小規模な工事の場合は費用が割高になる可能性がある
  • ・工事費とは別にコンサルタントに払う報酬が必要になるため、全体的に費用は高くなる傾向にある

管理会社施工方式は業者選びをする必要がない方法(そのプロセスをカットしたい管理組合のための方法)ですが、自分たちの資産を守る上で最低限のチェックは必要です。管理会社に資料を見せてもらうなどして、工事内容や費用の妥当性を確認したり、手抜き工事がないか牽制をきかせたりしましょう。

業者の種類

大規模修繕工事を行っている施工業者は、大きく3つに分類できます。

総合建設業者 専門工事業者 マンション管理会社
いわゆるゼネコンです。人材面・技術面など、組織としての対応力は高いと考えられますが、工事は下請け業者任せになるため、統率力や現場監督力が問われます。 専門分野の工事について技術力が最も高いと考えられる業者です。施工実績も豊富にあるところなら、安心して任せることができます。元請けとしての施工管理能力に弱いところもあります。 日常の保守点検や定期的な小規模修繕などによって建物を継続的に管理している業者です。建物のことを熟知していることが強みですが、大規模修繕工事に対応できないところもあります。
総合建設業者 いわゆるゼネコンです。人材面・技術面など、組織としての対応力は高いと考えられますが、工事は下請け業者任せになるため、統率力や現場監督力が問われます。
専門工事業者
    専門分野の工事について技術力が最も高いと考えられる業者です。施工実績も豊富にあるところなら、安心して任せることができます。元請けとしての施工管理能力に弱いところもあります。
マンション管理会社 日常の保守点検や定期的な小規模修繕などによって建物を継続的に管理している業者です。建物のことを熟知していることが強みですが、大規模修繕工事に対応できないところもあります。

施工業者、どこを見ればいい?

施工業者、どこを見ればいい?大規模修繕は、マンションなどの居住者がたくさんいる状態で工事をしなければならないため、新築工事とは勝手が違います。施工や対応が悪いと居住者からクレームなどを受けることもあるので、注意しましょう。

施工実績

「施工実績」は“成功実績”と言い換えることもできます。上手に工事を進めるには、この“成功実績”やそれに基づくノウハウが必要。そのため、大規模修繕の実績豊富な業者のほうが安心です。

建物の規模・階数・工事内容・エリア

大規模修繕は、戸数や階数などの規模に応じて「起こりがちなトラブル」も異なります。どのくらいの規模の建物を修繕した経験があるかもチェックしておきましょう。

完成後の品質保証能力

工事が完了しても、契約によっては定期的な瑕疵(かし)点検やそれに付随する保証工事などが発生します。施工業者には、5年・10年という長期にわたって品質を保証する能力が必要です。

契約担当者の対応力

「人が居住する中での工事」では、居住者と良好なコミュニケーションが取れるスタッフが必要です。契約担当者の対応を見れば、その会社全体の対応力を推し量ることができます。

工事の品質が高いのはもちろんのこと、居住者とトラブルを起こさないように配慮しながら工事ができる業者を選びましょう。それが、大規模修繕工事で後悔しない一番のポイントです。

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