大和の大規模修繕コラム

大規模修繕完全マニュアル(2)大規模修繕をしないとどうなる?

  • 2014/6/26
  • カテゴリ: 基礎知識

雨や風、紫外線、振動、排気ガスなどの過酷な環境から私たちを守ってくれるマンションですが、その代償として各部が徐々に劣化していきます。こうした経年劣化を食い止め、資産価値を維持・向上させるために行うのが大規模修繕ですが、適切な時期に大規模修繕を行わず、劣化を放置しているマンションも少なくないようです。

約3分の1のマンションが大規模修繕していない!?

東京都都市整備局が行った「マンション実態調査(2013年)」では、実際に大規模修繕が行われたマンションの数の統計を出しています。1992~2001年に竣工されたマンション(築10~20数年経過)で大規模修繕を実施しているマンションは約62%。残りの約3分の1のマンションでは大規模修繕が行われていないことが分かっています。


大規模修繕をしないリスク

強度・安全性が下がる

マンションの外壁は経年とともに劣化していきます。塗膜が剥がれ、コンクリートにヒビが入ると、そこから雨水が浸入します。そうなると、内部の鉄筋が錆び、建物の強度も低下。地震などの災害に弱くなり、居住者の安全が脅かされることになります。

事故のリスクが高まる

事故のリスクが高まる劣化がひどくなると、外壁のコンクリート片やタイルが剥がれ落ち、居住者や通行人を巻き込んだ大事故に発展するおそれがあります。もし、高層階のタイルが剥がれて、人の頭上に落下したら・・・命に関わる大事故にもなりかねません。

また、ベランダの手すりの劣化も危険です。手すりが錆びて脆くなっていると、体重をかけた瞬間に壊れて、転落してしまうおそれもあります。

必要な修繕をしないで事故などが起きた場合は、管理組合の責任が問われ、多額の損害賠償を請求されることもあります。

快適な生活ができなくなる

外壁や天井に汚れ・錆びが発生し、外観が悪くなると、居住者は快適に暮らせなくなります。雨漏りが起きたり、排水管の詰まりによって汚水が逆流したりすれば、当然生活に支障が出ますし、水道から赤水が出るようになると健康被害にもつながります。

マンションをスラム化させてはいけません!

マンションをスラム化させてはいけません!上述のような状態のまま放置されているマンションは、最悪の状況である“スラム化”を招きます。まず、住みづらくなった居住者が引っ越していき空室が多くなります。徐々に秩序が乱れ、ゴミ出しのルールなどが守られなくなり、落書きなどのいたずらや空き巣などの犯罪が発生しやすくなります。さらに、管理費や修繕積立金を滞納する人が増え、資金難に陥り、大規模修繕どころではなくなってしまうのです。

このように、適切な大規模修繕を怠ると、マンションはハード(建物、設備など)においても、ソフト(管理組合の財政、居住者同士のコミュニティーなど)においても荒れ果て、スラム化してしまうのです。

大規模修繕をしないでいるとどうなるか、お分かりいただけたと思います。では、具体的に、いつ大規模修繕をすればいいのでしょうか?次回のコラムでは、大規模修繕をするべきタイミングと進め方について解説していきます。

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