大和の大規模修繕コラム

大規模修繕完全マニュアル(5)大規模修繕前の建物調査・診断

  • 2014/9/11
  • カテゴリ: 基礎知識

マンションの大規模修繕を実施することが決まったら、最初にやるべきことが建物調査・診断です。事前に完了している場合もありますが、本コラムでは、建物調査・診断を行っていないマンションのケースでご説明していきたいと思います。

建物調査・診断で現状を把握する!

建物調査・診断をせずに、いきなり大規模修繕を行うことはまずありません。適切かつ円滑に大規模修繕を行うにあたっては、過去の修繕履歴・点検履歴などを把握しておくとともに、現在の建物・設備の劣化状態を見極めておく必要があります。
そのために欠かせないのが、建物調査・診断というわけです。マンションの現状を把握できれば、工事の優先度も分かり、すぐに修繕すべきか、もう少し先でいいのかといった判断もできます。すぐに工事をする必要がある場合でも、どこをどんなふうに修繕すべきかが明らかになり、スムーズに修繕計画を立てることができます。

なお、誰が建物調査・診断を行うかは、「大規模修繕の発注・契約方式」で解説している発注・契約方式によって変わってきます。

【責任施工方式】
管理組合が選定した建物診断業者が行います。

【管理会社施工方式】
管理会社が行うか、管理会社が選定した建物診断業者が行います。

【設計監理方式】
設計事務所などのコンサルタントが行うか、コンサルタントが選定した建物診断業者が行います。

3つの建物調査・診断

3つの建物調査・診断建物診断の内容は、外観の目視から特定部位の打診調査、特殊機器を用いた診断、各種試験まで様々です。一般的に2つ、もしくは3つに分類されますが、業者によって分類方法や呼び方が異なります。以下では、一般的な3つの分類である「一次診断」「二次診断」「三次診断」についてご説明していきましょう。

一次、二次、三次となるにつれ、劣化の詳しい状態が分かりますが、すべての診断を順番に行う必要はなく、「とりあえず一次診断で」「築年数も古いから三次診断を」など、マンションの実状や予算によって最適な診断を選びます。

一次診断

もっとも簡易的な診断で、建物の劣化の度合いを大まかに把握し、どんなところを直す必要がありそうかを探っていきます。外観の目視検査や指触調査、簡易な打診調査に加え、マンションの図面確認や管理組合へのヒアリング、また居住者にアンケートを配布して各戸の不具合を確認したりします。

二次診断

劣化の要因を特定し、修繕の要否をジャッジするための診断です。目視検査や打診調査、非破壊検査、微破壊検査など、業者によって内容は異なりますが、一次診断より詳細な調査結果が得られます。

三次診断

目的は二次診断と同様ですが、二次診断よりさらに詳細な診断を行います。局部破壊検査、抜管調査、内視鏡調査など、「コンクリートの内部が劣化してないか」「配管の内部が腐食していないか」「タイルの付着力が弱まってないか」など、目視では分からない建物の状態をチェックします。三次診断によって劣化の原因を正確に特定でき、より精度の高い修繕計画を立てられます。

説明会で居住者にも報告を!

説明会で居住者にも報告を!建物調査・診断の結果は管理組合に報告され、その後、広報誌などによって居住者に知らされるのが一般的ですが、居住者向けに公開説明会を行うケースもあります。

来るべき大規模修繕をスムーズに進めるためには、居住者に説明会に参加してもらうのがいいでしょう。マンションの劣化状態を直接写真で見たり、専門家の説明を受けたりすることで、大規模修繕に対する理解が深まり、協力的になってくれる人も増えるはずです。

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